第32回自治体制作セミナーIN埼玉に参加してきました

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 2泊3日の日程で開催された今回のセミナーには、大学教授、弁護士、自治体職員、市議会議員、住民団体など幅広い人たちが参加していました。
加賀市でも保育園の民営化、指定管理者制度の導入、市場化テスト、行財政改革などが推進されています。こうした計画の策定にあたり、市民への情報公開や市民の参加は、ほとんどなく、形式的な審議会が設置されているだけで、決定されているのが現状です。
自治体民営化の現状と全国の取り組みを学び、憲法に規定されている地方自治のあり方について学びたいと考えて、参加してきました。
その内容をご報告します。 会場は埼玉県浦和市「さいたま会館」 第一日目、10日午後一時半から午後4時半まで 神野直彦東京大學大学院経済研究科・経済学部教授の「歴史的転換点に立つ地方自治」・・不安の時代から地域再生へと題しての基調講演。 「今日、日本の地方自治は、歴史的な帰路に立っている。儲かる社会と言う呪文にかかっている。社会的病理に陥っている。その原因は、コミニティが崩壊していることである。
それは、社会保障制度の改悪で国民の暮らしが成り立たなくなってきていることから起こっている。
地方自治体は、「お金が無くても安心してください」といわなければならない。「お金の無いものは出ていけ」ではいけない。フインランドでは、政策の大転換を行った。住民が必要としている施策を実施し、住民が安心して、安全に暮していくために必要なサービスを提供するのが自治体の役割である。
住民のニーズが大きく膨れ上がることはない。いらない薬を飲まないのと原理は同じ。
住民が必要としているからニーズがある。欲望とは違うのである。
病気の子どもを保育園に預けることがいかがかというが、子どもは両親に育てられる権利をもっているのであり、スゥエーデンなどでは、両親の欠勤の権利を定めている。育児の1年間は賃金の75パーセント保障している。子どもは国が責任を負っているのだから、保育や医療は当然無料である。
所得の再配分を国民に行っている。国民に所得の分配していない日本の政治が問題なのである。自治体は企業ではないのであり、市場原理に任せてはいけない。 ユニバーサルにして考えるべきである。
政府は、サービスを豊かにするために職員を削減して、経費を削減するというが安いコストでよいサービスは提供できない。民間への丸投げは理論的にも現実的にも成り立つものではない。
日本は異常な国になりつつあると言わなければならない。
世界地方自治憲章が平成13年6月の国連特別総会で提案されたが、日本と中国の反対で未採択となっている。
その第9条の5項では、脆弱な地方自治体のために、税制の持続性を、垂直的に(国と地方自治体間)、水平的(自治体間)またはその両方であるとを問わず、特に財政調整制度により、保護しなければならない。6項では、垂直的、水平的な均等化を含む財政調整制度のルールを決める過程への地方自治体の参加を法律で保障しなければならない。これは世界の常識になっていることであり、日本でもこの方向に持って行くべきである」

第二日目、午前9時半から4時半まで  分科会「自治体民営化と公共サービスの質」に参加
講演:尾林芳匡(弁護士)  「政府が推進してきた自治体の民営化推進を歴史的にとらえること。
民営化の目的は、住民が納めた税金で企業が利益をあげる仕組みであり、全国で多くの問題を起こして、住民が犠牲になっている。(仙台市でのプ‐ル天井崩壊、高知県でのオリックスが経営の中核病院での自治体負担、タラソ福岡の経営破たん)  
  民間になれば安くてよりよいサービスが提供できるというのはごまかし。
良い商品にはコストと経費がかかるのは当たり前。
建築基準確認の民間開放で何が起こっているか。住民の安心、安全を確保するためには、必要な知識と経験をもった専門の職員の育成と配置が必要であり、当然コストがかかるのである。
自治体の民営化とは、民間大企業が自治体の市場を開放させて、利益を得ようとするものである。住民に質の高いサービスを提供することは、経済力の差による格差を緩和して、住民に平等を保障するものである。公共のサービスは、すべての人々が幸せに暮すことを保証するものであり、憲法15条は、公務員の公共性を明記しているのである。
その原点を問い直し、よりよいサービスを提供する自治体をつくる運動を広げようではないか。夕張の財政破綻が問題になっているが住民へのサービスや自治体職員の給与が財政破綻の原因ではなく、過疎債などの借金で大型公共事業を推進してきたことが破綻の原因である。
自治体の民間解放を推進しているある慶応大学教授は、もともと財務省の高級官僚であったが、民間NPOに天下りして、大學教授になった人である。
民間企業が望んでいるように、自治体の解放が進んでいないのが原状である。
さらなる民間開放を推進しようとしている」

  3件の個別の報告・・・・

  1. ふじみ野市における民間委託プール事故とその後―大井プール事故を教訓に、公共施設の安全を確立するために   
                           ・・・・・・ 報告:後藤晴男ふじみ野市職員組合執行委員
  2. 岡山市の「市民事業仕分け」を経験して  
                           ・・・・・・ 報告:杉本規道職員労働組合
  3. 足立区の「市場化テスト」計画の破綻について  
                           ・・・・・・ 報告:上野仁職員組合書記長

  林弁護士のまとめ

  1. 市場化テストは窓口業務全般にかかっている問題である。市当局に対して、足立区当局が導入を挫折したこと。吉川春子議員への政府答弁などを活用して阻止できる取り組みを行う。
  2. 富士見の市でのプール事故問題は、安易な民間委託と下請け丸投げの問題。契約で禁止されていても事故は防げなかった。契約で条件をつけてもそれを監視し、守る職員と専門性の確保がなければ人の命は守れないことを示している。
  3. 岡山市での事業仕分けは、現在の市の業務がなぜ市の業務となっているのかを解明していくこと。事業仕分けと称して、民間に渡すことは、経済的な弱者を排除していくことにつながるのである。お金持ちは、自治体のサービスを必要としない。

3日目午前9時半より、特別シンポ:「蔵のまち川越のまちづくりは今」
川越の町並み再生と活用と題しての特別シンポジュウムは、八幡一秀中央大學経済学部教授のコーディネーターで進められ、3名のパネラーが(川越蔵の会の福田喜文氏、中野みどりプレイグランド代表、加藤忠正川越市総務部工事検査室担当)がそれぞれの立場の報告を行いました。
歴史的な町並みを再生する取り組みは、すでに24年になり、いまでは年間450万人の観光客が訪れるようになったとのこと。これまでの活動の苦労や問題点なども報告されました。

   参加して:

日本政府が財界の要望のままに、「官から民へ」「小さな政府」などといって、地方自治体の仕事を民間に開放しようとしていることに対して、「我々の税金がこの人の利益になる」というキャッチコピーを作成した人がいる。
あの人とは宮内オリックス会長である。今日の自治体への攻撃の本質をしっかり捉えて、市民とともに、市民の暮らしをために、市の福祉施策の拡大強化を求めることへの確信と勇気が持てるセミナーでした。

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